『蒼天の譜』1996年
母校である脇町高校から100周年記念事業としての緞帳の依頼を受け、半年間の熟慮を経て描かれた原画。
日本列島を背景に飛翔する10人の若者の持ち物には、未来を担う学生達へのあたたかいエールが込められています。同時に、新世紀を迎えるこれからの日本が、哲学を中心とした世界から慕われる「文化立国」であるための人材育成が大切であるとの教育全般に向けた願いも込められています。
太陽:「太陽には照焼の二義あり」という。
照らすはどんな日陰でも太陽が当たると生き生きと蘇るの意。
焼くとはすべての煩悩・あらゆる悩みを焼き尽くすとの意。
また女性は太陽のような母になってほしいとの願い。
星 :宇宙の象徴。目を閉じて自分の中にある小宇宙も感じ取ってほしい。
月 :詩情と休息。
(以上「三光」は、有史以来、人類にとっての思想の原点。)
笛 :音楽の象徴。
本 :哲学の象徴。表紙に「蒼天の譜」哲学入門、脇高生徒会編とある。
脇高の教えを胸に自らの哲学を掲げて巣立ってほしいとの願い。
蘭 :「花鳥風月」の花の象徴。周りを鳥の象徴である白鳩が舞う。
地球:かけがえのない青い地球。
子羊:すべての動物の象徴。
羅針盤:真善美、知情意、信望愛、仁義礼、生老病死の文字が入る。
東西哲学の原点をあらわす言葉が選ばれた。
小麦:食物の象徴。校舎の建つ所が「古麦谷」という地名でもある。
列島地図の脇高が位置する箇所には、当時の校長先生と生徒会長に拾っていただいた校庭の石(88個あった)から選んだ石が埋めてあります。
(実際の緞帳にもその中の一つが埋め込まれています)
画題は、脇高校歌 土井晩翠作詞「見よ彼の蒼天」より引用されました。