『聖陵・歴鶴の図』制作にあたりて
昭和 平成 令和
そは 私たち世代が悲喜こもごもの日々
いのち刻みつつ生き貫いた時代
その三代の月日 友と語り合いながら
大阪・仁徳天皇陵を描いたのは
白梅もふくらむ 令月のころ
この古陵 世界三大墳墓のひとつにして
はるか唐・隋の時空を超え
千六百年の年月宿し
今秋ここに 皇家大嘗祭への大道へと つながりぬ
雅にして和美なるや この儀式
歴々深きこの国の 不思議は閻浮(えんぶ)に伝わりて
人類有史の至宝となれり
縄文の夜も 令和の朝も つつがなきや日々の発光
三代聖鶴 ひと声高く唱和して
聖陵聖天の雲井にとどろき 寿ぎまつる
その声 さらに清(すが)しくこだまして
我ら一人ひとりの心魂と
万民の生命力 いよよ盛んとす響きあり
聖陵・歴鶴 永遠に伝えむ
聖鶴三代 永遠に語らん
*閻舞=仏教の世界観でいう人間世界のこと
令和元年(2019)日展出品作