虹天に向う
『虹天に向う』

七色美しき虹は
 豪雨激しき時も 陽光燦々の時も現われはしない
 天地潤い穏やかに 微風さえ鎮まるとき
 静かに そっと現れる

七彩輝く虹は
 ほのぼのと おおらけく まろやかに
 まるで透き通る 薄絹のように
 密けく 音もなく 色香を染めて現れる

七色美しき虹は
 まほろばのかなた 遠き日の 幼な子 乙女の姿して
 突如宙空に現れ
 万人の胸中に宿るる 瑞々しき 元初の心と我が美伝子を呼び覚まし      
 呼び戻す

七彩輝く虹は
 天が一瞬にして描く 見事な絵画 感動の名作
 この不思議 古代の人々は 龍神の立ち昇る姿とよろこび
 現代の人々は あなかと私の懸け橋 希望叶う理想の懸け橋と よろこぶ

虹よ 光り輝く美しき虹よ
 願わくば 風神雷神とともに 
 虹神となって 幸を呼び
 我が生きる人道に 橋架けよ
 我が住む山河 大海原に 橋架けよ

平成28年(2016)日展出品作