平成鳳凰天来之図
奉祝画『平成鳳凰天来之図』謹筆にあたりて

夫れ鳳凰は 古来より瑞鳥にして霊鳥なり
聖徳なる天子の出現される前兆として この世に舞い来るという

鳳凰の登場は約三千五百年前 殷の時代の甲骨文にあって
その意は 自然界の不思議ないぶきを 風の神としてとらえ
上帝の徳風を 四方八方十方の彼方へと
自在に伝えるため鳳としたのが初形となる
故に鳳も凰も ともに風を冠とす

鳳は雄(ゆう)にして 凰を雌(し)となす
その姿は光り輝き 白鳳・朱雀・五色とあって
目は人眼にして 天子の相貌を表す
常に桐樹に宿り 竹の実を食して 醴泉を飲む
またそれぞれ 鹿・麟・亀・蛇・燕・鶏・魚・孔雀等の霊精と美質を備え
天空に妙音を発しつつ 過去世と現世との思いを取り次ぐものとして
この二界を 自由自在に往来し 
その翼は 一度翔けば万里を征くと伝う

このように 古代の人々は 天空高く渡り飛ぶ鳥の姿を羨望するあまり
ついに理想の鳳(おおとり)を出現させ
その鳳凰思想は 龍・麒麟等と共に 人間生命のおおいなる空間を
優雅にも豊けく広げつつ 今に至れり

本図は 此度の祝意を 白鳳・朱雀の紅白二瑞に込めて主題とし
その天空には 日天・月天・星宿を浮かべり

日輪は 照焼の二義を有し 万物をよく照覧し
どのような陰・弱・裏にあっても
ひと度 慈光を注げば
皆蘇生し 全ての煩悩とて瞬時に焼き尽くせり

月輪は 安らけき休息のひとときを与え 
地上の万物を 等しく闇に包み消し去り
思考と詩情と真如の光を 人々の魂に降り注ぐ

そして無窮に輝く星辰の数は 御即位二十星霜を寿ぎ
金色の二十星宿を描き
御大婚五十星霜を寿ぎて
銀色の五十星宿を描き さらに中天高く 北極星を描き入れて
極座動かず 衆星ことごとく集むるの理をもって
万世一系の尊厳と 地平天成。内平外成 即ち平成の意を表せり

願わくは 天皇皇后両陛下の御清健 御聖徳 
永久にあらせられ 皇家いよ丶弥栄の御元
日本列島と 世界中の家々に 平成福徳の羽音も高く
鳳凰の舞い来たらん事を

白紅の 鳳凰舞うや 平成の 御代に生きゆく 幸ぞおもほゆ

平成21年(2009)十一月十二日